「家を購入しようと思ってるんだけど、鉄筋コンクリート住宅ってどうなの?」
「おしゃれなイメージあるけど冬寒そう…。鉄筋コンクリート住宅のメリットとデメリットについてくわしく知りたい!」
家を購入するときに、構造の選択肢として鉄筋コンクリート住宅は候補に挙がりますよね。
この記事では、鉄筋コンクリート住宅のメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。
それぞれについてくわしく知ったうえで、どんなひとにおすすめかも分かるようになっていますので、ぜひ最後まで読んでください。
鉄筋コンクリート住宅とは
鉄筋コンクリート住宅とは、鉄筋とコンクリートを一体化させた構造部材で柱や梁・床・壁がつくられた住宅のことです。
鉄筋とコンクリートには、それぞれ以下の特徴があります。
- 鉄筋…引張力(ひっぱる力)に強いが、錆びに弱く耐火性が低い
- コンクリート…耐火性が高く圧縮力(上から押さえつける力)に強いが、引張力に弱い
鉄筋とコンクリートがお互いの弱点を補うことで強度を高めているのが、鉄筋コンクリート住宅の特徴です。
鉄筋コンクリート住宅は別名「RC造住宅」とも呼ばれ、RCはReinforced Concrete(補強されたコンクリート)を意味しています。
鉄筋コンクリート住宅の7つのメリット
それでは、鉄筋コンクリート住宅のメリットについて解説していきましょう。
耐久性が高い
鉄筋コンクリート住宅は、木造住宅や鉄骨住宅に比べて強度や耐久性が高いです。
具体的には、国税庁が定めた耐用年数が木造住宅は22年・鉄骨住宅は34年・鉄筋コンクリート住宅が47年となっています。(国税庁 主な減価償却資産の耐用年数参照)
たとえば新築の木造住宅を建てて、22年経ったタイミングで建て直しして、さらに22年住んだとしても、鉄筋コンクリート住宅の耐用年数のほうがまだ長いのです。
47年経ったところでかならず寿命が来てしまうわけではなく、定期的なメンテナンスをしていれば120年~150年に渡って住み続けることもできます。
地震に強い
鉄筋コンクリート住宅は耐震性が優秀です。
一戸建ての鉄筋コンクリート住宅の基礎は、一般木造の数倍の鉄筋を組んだ「耐圧スラブ基礎」で、その基礎と躯体(柱・梁・床・壁といった構造部材のこと)が一体となる「モノコック構造」でできています。
「モノコック構造」は住宅自体が6面体の箱になっており、地震が来たときは衝撃を点ではなく全面で受け止めるので、うまく分散させてゆがみや変形を防ぎます。
対して木造住宅の場合、日本の伝統的な木造軸組構造は柱や梁の接合部に衝撃が集中するため、支えきれずにゆがんだり変形してしまう危険性が高いです。
火災に強い
鉄筋コンクリート住宅は火災に強いです。
鉄骨住宅は耐火性が低く、火事が起きた場合は構造部が変形して建物が倒壊する危険性があります。
木造住宅は「表面が炭化しても内部まで完全に炭化するまでに時間がかかる」という特徴があり、火災発生から避難する時間に余裕があるため、鉄骨住宅にくらべると耐火性は高いといえます。
対して、鉄筋コンクリート住宅は構造躯体であるコンクリート自体が不燃材なので、木造住宅よりも耐火性がさらに高いのです。
火事が起きると室内の温度は1,000℃を超えますが、コンクリートは1,000℃に2時間さらされても強度が変わりません。
隣家が火事になっても火が移りにくく、自宅が火事になっても周りに燃え移りにくいという特徴もあります。
火災保険料が安い
鉄筋コンクリート住宅は、木造住宅に比べて火災保険料が安いです。
火災保険料は、耐火性能によって建物を3つの構造区分に分けて算出されます。下の表を見てください。
構造区分 | 建物の種別 | 具体例 | 保険料 | 耐火性能 |
M構造 | 耐火建築物の共同住宅 | 鉄筋コンクリート造のマンション | ↑安い
↓高い |
↑高い
↓低い |
T構造 | ・耐火構造、鉄骨造の建物
・耐火建築物 ・準耐火建築物 ・省令準耐火建築物 |
・鉄筋コンクリート造の建物
・鉄骨造の建物 ・2×4工法の建物 ・プレハブ住宅 |
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H構造 | M構造、T構造に該当しない建物 | 在来木造建物 |
※M=マンション T=耐火 H=非耐火
M構造がもっとも耐火性能が高く、火災保険料が安いです。逆にH構造はもっとも耐火性能が低く、火災保険料も高くなります。
鉄筋コンクリート住宅はT構造に分類され、H構造の木造住宅と比べると火災保険料は半額程度で済みます。
なお、木造住宅であっても2×4工法を用いて建てることで、T構造にすることが可能です。
遮音性が高い
鉄筋コンクリート住宅は、遮音性が高いです。
住宅の壁や床の遮音性は、質量によって決まります。コンクリートは質量が高いため、必然的に遮音性も高くなるのです。
具体的には、木造住宅が30db~50dbの音を遮断できるのに対して、鉄筋コンクリートは50dbの音まで遮断できます。
たとえば交通量の多い道路(80db)に面した家でも、鉄筋コンクリート住宅なら50db遮音してくれるので、家のなかに伝わるのは30db(深夜の住宅街並みの音)です。
また、壁の厚さは200mmを超えると防音効果が高まるため、注文住宅で鉄筋コンクリート住宅を建てるなら壁は200mm以上に設計すると快適に暮らせるでしょう。
デザインの自由度が豊富
鉄筋コンクリート住宅は、木造住宅や鉄骨住宅に比べてデザインの自由度が豊富です。たとえば以下のようなことができます。
- 打ちっぱなしや石・タイルの貼り付けといった表面加工
- 曲線や円状の外観
- 屋根をフラットにして屋上を使えるようにする
打ちっぱなしはシンプルで、デザイン性としては人気があります。
曲線や円状の外観は木造住宅や鉄骨住宅で実現するのは困難で、鉄筋コンクリート住宅だからこそできるデザインです。
フラットな屋根は見た目がおしゃれなだけではなく、屋上でバーベキューをしたり、「道路に面していないから」という理由で子どもを遊ばせる安全な遊び場として活用するといったように、さまざまな使いかたができます。
冷暖房の効率がいい
鉄筋コンクリート住宅には、冷暖房効率がいいというメリットがあります。
まず、鉄筋コンクリート住宅は、格子状に張り巡らせた鉄筋を木製型枠で囲んで、そこにコンクリートを流し込んでつくるため、気密性が高く、すき間から熱が逃げにくいです。
そして、コンクリートは「熱容量」が大きいという特徴があります。「熱容量」とは壁や床の温度を1ケルビン上昇させるのに必要な熱量のことで、「熱容量」が大きいと室内の温度が変わりにくいという特性を持ちます。
つまり、冷暖房を一度効かせてしまえば快適な温度を保ちやすいのです。
夏は設定温度を高めに設定しても、定常運転をつづければ涼しさをキープできます。冬は暖房が効き始めるまでに時間がかかるものの、いったん効き始めれば寒くなりにくいです。
ただし、断熱材を使って適切な断熱をしてあることが条件です。断熱材を使っていない鉄筋コンクリート住宅は、夏は暑く冬は寒さに震えることになります。
鉄筋コンクリート住宅の3つのデメリット
つづいて、鉄筋コンクリート住宅のデメリットについて解説していきます。
建築費用が高い
鉄筋コンクリート住宅は木造住宅にくらべ、建築費用が高いです。
木造住宅の坪単価が400,000円~700,000円程度であるのに対し、鉄筋コンクリート住宅の坪単価は900,000円~1,000,000円程度となっています。
坪単価の計算方法は建築会社によって違うので、あくまで参考値ですが、木造住宅の約1.5倍~2倍程度の費用が掛かると思ってください。
鉄筋コンクリート住宅の建築費用が高いおもな要因としては、
- 厚い壁や太い柱が必要なため、材料費が高い
- 建物の重量が重いので地盤改良工事や基礎工事の費用がかさむ
- 工期が長く、建築現場の経費や人件費がかさむ
以上の3つが挙げられます。
これらは先ほどメリットとして挙げた耐久性や耐火性と表裏一体であり、鉄筋コンクリート住宅の恩恵を受けるうえで避けては通れないデメリットです。
また、解体して新しい住宅を建てる場合は解体費用も高くつきます。具体的には、木造住宅の解体は坪単価30,000円程度が相場ですが、鉄筋コンクリート住宅を解体する場合は坪単価40,000円~50,000円程度かかります。
床が硬い
鉄筋コンクリート住宅の床はコンクリートでできており、硬いです。
床が硬いと歩くときに足に負担がかかるため、2世帯住宅を建てる場合や老後の生活を考えるとデメリットといえます。
子どもがいる家庭では転んだときに大きなケガにつながりやすく、カーペットを敷いて床に直接ふれないように対策する必要があります。
外気温の影響を受けやすい
先ほどメリットとして冷暖房効率の良さを挙げましたが、断熱材を使っていない場合は外気温の影響を受けやすく、夏は暑く冬寒い家になってしまうでしょう。
理由は「外の熱を室内に伝えやすい」というコンクリートの特性があるからです。
対策として、コンクリートの外側を断熱材で囲う(外断熱)、もしくは柱と柱の間に断熱処理をする(内断熱)ことで、このデメリットは解消できます。
また、気密性が高いことでカビも発生しやすいので、換気や除湿をしっかり行うことも大切です。
鉄筋コンクリート住宅はこんなひとにおすすめ
ここまで挙げてきたメリット・デメリットを踏まえて、鉄筋コンクリート住宅がおすすめできるひとは以下のようなひとです。
- 2世代3世代に渡って長く住み続けたい
- 都市部でもまわりの騒音に悩まされずに暮らしたい
- おしゃれなデザインの家に住みたい
メンテナンスを怠らなければ120年~150年住めるので、家を建てたひとの世代だけではなく、親子で継承して2世代3世代に渡って長く住み続けられます。
交通量や人通りの多い都市部に住む場合、騒音とは切っても切れない関係ですが、鉄筋コンクリート住宅なら遮音性の高さを活かして静かに暮らせるでしょう。
外からの騒音をシャットアウトするだけでなく、家のなかの音を漏れにくくする効果もあり、小さな子どもがいる家庭でも近所迷惑になってしまうリスクを減らせます。
デザイン性の高さは鉄筋コンクリート住宅ならではの特徴で、他人と違う家に住みたいひとにとってはこれ以上ない選択肢です。
ここまで書いてきましたが、建築費用以外のデメリットは対策できるので、実際はデメリットよりメリットのほうが多いといえるでしょう。
この記事を読んだことで、鉄筋コンクリート住宅のメリット・デメリットを知り、住宅購入の手助けになれることを願っています。
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