「注文住宅を建てようと思ってるんだけど、間取りってどうやって決めたらいい?」
「建ててから後悔するのはイヤだな。失敗しない間取りの決め方ってあるの?」
自分の好きな間取りを決められる、注文住宅。自由度が高いだけに、失敗するリスクを考えるとなかなか決まらないですよね。
でも、失敗しないためにできる決め方のコツがあるんです。
この記事では注文住宅の間取りの失敗例をもとに、何がいけなかったか、それをふまえてどう対策すればいいかについて、わかりやすく解説します。
注文住宅の間取り失敗例
それではまず、注文住宅の間取りの失敗例を紹介していきましょう。
空調関係の失敗と対策
空調関係の失敗例として、以下のようなものがあります。
吹き抜けをつくったら寒すぎる家になってしまった
解放感があっておしゃれな吹き抜け。しかし、吹き抜けをつくると、冬場は1階と2階をつなぐ大きなスペースを1台のエアコンで暖めることになります。
暖かい空気は軽いため、上へ上へと昇っていき、1階はいつまで待っても暖まりません。
2階は暑いほど暖かくなりますが、暖房で暖められた空気はとても乾燥していて、身体のかゆみや風邪につながります。
逆に、夏場は冷房で冷やした空気は1階にとどまろうとするので、2階は猛暑です。
空調効率が悪いことで、電気代も高くつくでしょう。
対策としては、天井にシーリングファンを設置して、空気を循環させることです。
シーリングファンを取り付けるためには、羽根の先端から壁まで40cm~50cmのスペースが必要です。
シーリングファン自体の直径が90cm程度なので、どうしても吹き抜けをつくりたい場合は130㎠~140㎠以上で設計しましょう。
リビング階段にしたら2階から冷たい空気が入ってきて寒かった
リビングに階段を設置すると、出かけるときと帰宅時にかならずリビングを通ることになり、子どもがいる家庭では思春期を迎えても親子のかかわりを持ちやすいため、設置したがるひとが多いです。
しかし、冬は冷たい空気が2階から入ってきて、リビングが寒くなるというデメリットがあります。
さらに話し声が響きやすく、たとえば1階で旦那さんが友達と飲み会をしているときに、奥さんが2階の寝室でうるさくて寝られないという状況がありえます。
どうしてもリビング階段を設置したい場合は、対策として、階段の入り口にドアをつけましょう。
浴室乾燥機をつけなかったら冬の浴室が予想以上に寒かった
雨の日も洗濯物を浴室で干せる、浴室乾燥機。「部屋干しするスペースをつくるからいらない」と思って、取り付けないひとも多いです。
しかし、一戸建ての冬の浴室は異様なほど寒くなります。とくに老後や二世帯住宅で高齢者と同居する場合は、命に関わるレベルの寒さです。
浴室乾燥機には暖房機能がついており、冬の入浴の前につけておけば、服を脱いで浴室に足を踏み入れても、震え上がるような寒さを感じることなく入浴が始められます。
暖かい時期に注文住宅を建てる場合は「いらない」と感じるかもしれませんが、冬のことを見据えて、浴室乾燥機をつけておきましょう。
窓の位置の失敗と対策
注文住宅を建てる際は、窓の位置にも気を配らないといけません。ここからは、窓の位置に関する失敗例を紹介します。
窓の位置が悪くて外から家のなかが丸見え
通りに面した土地に注文住宅を建てる場合、人通りの多い方面に窓をつけると、通行人からの視線が気になって落ち着けません。
とくに窓を開け閉めする際は、外から家のなかが丸見えになってしまいます。
通りだけではなく、隣家の窓や玄関に面した位置に窓をつけるのも問題です。隣家からの視線が気になって、おたがいに生活しにくくなります。
対策として、窓は人通りの少ない方面、そして隣家の窓や玄関に面していない位置につけましょう。
窓の目の前が隣家の換気扇吹き出し口だった
窓の位置を決めるとき、隣家の換気扇にも注意が必要です。
窓の目の前に隣家の換気扇吹き出し口があると、窓を開けたときに料理のニオイがダイレクトに伝わってきます。
対策としては、間取りを決める前に、注文住宅を建てる予定の土地に下見に行き、隣家の換気扇吹き出し口の位置を確認しておきましょう。
寝室の窓を東向きにつけたら早朝から強い日差しを浴びることになった
窓を設置する目的のひとつが「採光」です。東向きに窓を設置すれば、早朝から昼にかけて日光をたくさん取り入れて、部屋のなかが明るく、暖かくなります。
しかし、寝室に東向きの窓を設置してしまうと、夏の朝は陽ざしが強すぎて、必要以上に早く目が覚めてしまいます。
対策としては、寝室には西向きか南向きの窓を設置し、東向きの窓はリビングに設置するのがおすすめです。
窓をつけすぎて家具が置けなくなってしまった
家のなかを明るくしようとして窓をつけすぎると、壁面が少なくなって、ベッドやテレビ台・本棚といった「端に寄せたい」家具が置けなくなってしまいます。
とくに掃き出し窓(出入りするための大きな窓)の前に家具を置くと、出入りができなくなり、窓が機能しなくなります。
対策としては、窓は1部屋に2つまでとし、「端に寄せたい家具」をどの部屋のどの位置に置くか先に決めてから、窓の位置を考えましょう。
テレビの向かいに窓をつけたら光が映り込んで画面が見づらかった
テレビの向かいに窓を設置すると、外から射し込んだ光が映り込んで、テレビ画面が非常に見にくくなります。
対策としては遮光カーテンを閉めれば解決しますが、部屋のなかが暗くなってしまい、なんのために窓を設置したのかがわからなくなります。
注文住宅を建てる際はテレビを設置する位置を先に決め、向かい側に窓を設置しないようにしましょう。
トイレの設置場所の失敗と対策
つぎは、トイレの設置場所に関する失敗例を紹介していきます。
トイレをリビングの横に設置したら家のなかで目立って恥ずかしい
リビングの横にトイレを設置したら、ほかの家族に音を聞かれて恥ずかしかった、という失敗例です。
とくに女性はトイレの音を聞かれると嫌がるので、リビングから少し離れた廊下にトイレを設置するといいでしょう。
トイレを玄関に設置したら玄関で来客対応中に入りにくかった
トイレを玄関に設置したら、玄関での来客対応中に入りにくかった、という失敗例です。
お客さんにトイレの音を聞かれるのは、家族に聞かれる以上に恥ずかしいですよね。
リビングだけでなく、玄関からも遠ざけましょう。
トイレを寝室の隣に設置したら夜中に水の音が気になった
寝室の隣がトイレになっていると、ほかの家族が夜中に使用する場合に水の音が響きます。
気にするひとは寝付けなくなる可能性があるので、トイレの位置は寝室からも遠ざけることが必要です。
家事の利便性に関する失敗と対策
注文住宅で間取りを決める際は、家事動線(家事をするひとの動く範囲)が短いかどうかで利便性が変わってきます。
ここからは、家事動線の長い(悪い)失敗例を紹介していきましょう。
2階のベランダに物干しざおを設置したら洗濯物を2階まで運ぶのが大変だった
洗濯機を1階に設置し、物干しざおを2階のベランダに設置した場合、濡れて重い洗濯物を毎回2階まで運ばなければならなくなり、非常に大変です。
2階のベランダに干すのであれば、洗濯機も2階のベランダのなるべく近くに設置できるように、間取りを設計しましょう。
さらにウォークインクローゼット(歩いてなかに入れるクローゼット)も2階のベランダ近くに設置しておけば、乾いた洗濯物の片付けもそのまま2階で済ませられます。
1階に洗濯機を置きたい場合は、物干しざおを洗濯室に設置したり、浴室乾燥機を利用すると家事動線が最短になります。
キッチンを広くしたら歩く距離が増えて不便だった
注文住宅を建てるにあたって、広いキッチンを望むひとは多いです。しかし、じつはキッチンが広すぎると料理中に歩く距離が多くて不便、というデメリットがあります。
冷蔵庫から食材を取り出し、調理台で調理して、食器棚から出した皿に盛り付ける。キッチンの理想の広さは、これら3つの動作が数歩で完了できる広さです。
家事動線を短くするために、コの字型(作業スペースが対面・壁付け・カウンターの3面に分かれている)のキッチンをおすすめします。
コの字型にするとキッチンの中心に立って料理することになるので、歩く範囲を最小で済ませられます。
キッチンが玄関から遠くて買ってきた食料品を運ぶのがめんどくさい
玄関からキッチンまでの距離も重要なポイントで、あまりにも離れていると買ってきた食料品を運ぶのが大変です。
キッチンのそばに勝手口をつけるか、玄関からなるべく近い位置にキッチンを設置しましょう。
せまさに関する失敗と対策
つづいて、せまさに関する失敗例を紹介していきます。
キッチンを小さくしたら家族が手伝おうとしてもせまくて入れない
先ほど解説したのとは逆パターンで、キッチンを広すぎないように小さくしたら、家族が手伝おうとしてもせまくて入れなかった、という失敗例です。
1人で料理する家庭か、家族が積極的に手伝う家庭かによって、キッチンのベストな広さは変わってきます。
1人で料理する家庭なら、キッチンの通路幅は70cm程度。積極的に手伝う家庭であれば、90cm~120cmは欲しいところです。
子どもができたら玄関に物を置ききれなくなった
子どもが大きくなるにつれて、くつやおもちゃ・ランドセルといった子どもの物が増えていきます。
スポーツ遊具のような外で遊ぶおもちゃは玄関に置いておきたいところですが、玄関がせまいとだんだん置ききれなくなってきます。
玄関の理想の広さは、玄関ホールに1畳・玄関土間に1畳・収納スペースに1畳を合わせた計3畳です。
3畳を大きく超える玄関をつくると、ほかの部屋やリビングがせまくなってしまうので、広ければ広いほどいいというわけではありません。
クローゼットがせまくて服が入りきらない
クローゼットの広さや数が足りないと、服が入りきらなくなって困ります。
とくに子どものいる家庭では、子どもの服のサイズが年々大きくなっていくので、収納するのに必要なスペースもどんどん大きくなっていきます。
おすすめなのは、ウォークインクローゼットを設置することです。
広いスペースに収納することで、服を探すときに見つけやすく、着替えもなかでできるというメリットがあります。
ウォークインクローゼットの理想の広さは、夫婦2人だと2畳、4人家族だと3畳~3.5畳です。
子どもの成長を見越して、子ども部屋にもクローゼットを設置しておくといいでしょう。
コンセントの位置による失敗と対策
注文住宅の間取りを考える際に適当に済ませてしまいがちなのが、コンセントの数や設置場所です。ここからはコンセントに関する失敗例を紹介していきます。
コンセントが少なすぎて不便
コンセントの数が少なすぎる、もしくはベッドや本棚といった家具に隠れてしまってつかえないと、注文住宅を建てたあとで後悔します。
設置数の目安としては、4.5畳~6畳の部屋なら3ヶ所、6畳~8畳の部屋なら4ヶ所、8畳~10畳の部屋なら5ヶ所は設置しておきたいところです。
そのほか、以下の場所にもコンセントが必要です。
- ダイニング
- キッチン
- 洗面所
- 廊下
- トイレ
- 玄関
とくにダイニング・キッチンは調理家電をつかう機会が多いので、6ヶ所は設置しておきましょう。
廊下や玄関にも掃除機をかけることを想定してつけておきます。洗面所はドライヤーやヘアアイロン、トイレはウォシュレットをつなぐために必要です。
通路にコンセントを設置したらコードに足が引っかかってあぶなかった
せまい通路にコンセントを設置すると、コードに足が引っかかって危険です。
とくに来客時はコンセントの位置を把握していないひとが通るので、より危険度が高くなります。
コンセントの設置場所は、なるべくひとの通りにくい場所をえらびましょう。
駐車場の失敗と対策
注文住宅を建てる際は、駐車場のつかいやすさも考えないといけません。ここからは駐車場の失敗例を紹介していきます。
玄関から遠くて不便だった
駐車場は玄関から近いほうがいいです。たとえば以下のようなときに遠いと不便さを感じるでしょう。
- 買い物帰りで荷物が多いとき
- 雨や雪といった悪天候のとき
- 夏の暑い時期や冬の寒い時期
買い物帰りで荷物が多いときは、駐車場から持って歩くのが大変です。
駐車場が近ければ先にいったん車を降りて玄関のドアを開けておくこともできますが、遠いと両手で荷物を持ったままカギを開けなければならず、力のない女性にはとくに負担になります。
雨や雪といった悪天候のときは傘を差して歩くことになり、荷物に加えてさらに手がふさがることになるので、余計に負担がかかります。
暑さ寒さのきびしい時期は、家と駐車場のあいだを行き来するのが非常につらいです。
駐車場はなるべく玄関から近いところに設置しましょう。
せまくて停めづらかった
駐車場がせまくて停めづらいと、注文住宅を建ててから後悔することになります。
具体的には、直角駐車の場合は幅3.7m×奥行き6.5m以上、縦列駐車の場合は幅3.5m×奥行き8m以上あれば、大きめサイズのファミリーカーを余裕を持って停められます。
現在はコンパクトカーや軽自動車に乗っていても、5年後や10年後は大きな車に乗りたくなる可能性もあるので、駐車場サイズは大きく取っておいたほうが安心です。
駐車場の間取りを考える際は、寸法だけではなく、障害物になる電柱がないかどうかも確認しておきましょう。
屋根をつけなかったことで、雨や風で車が汚れた
駐車場に屋根をつけないと、雨や風をもろに受けて、車が汚れます。
主に春は花粉・夏は雨・冬は凍結が汚れの原因です。洗車しても、2日も放置すれば汚れが目立つようになってしまいます。
理想は屋根だけでなく壁とシャッターつきで、車全体を覆ってくれるガレージを設置することです。
自宅の1階の一部をガレージにする「ビルトインガレージ」を設置すれば、家のなかを通ってガレージに行けるため、先ほど解説した「駐車場が玄関から遠くて不便だった」という問題も解決します。
床の材質・色に関する失敗と対策
注文住宅の間取りを決める際は、床の材質・色にも気を付けなければいけません。ここからは床の材質・色に関する失敗例を紹介します。
床の色を白系にしたら落ちている髪の毛が目立った
「清潔感を感じられるから」という理由で床の色を白系にしたら、落ちている髪の毛が目立って、逆に汚く見えたという失敗例です。
とくに脱衣所やトイレは髪の毛がたくさん落ちるところなので、白系の色をえらぶと失敗します。
ダークブラウンやグレーといった色を選択しておけば、目立たないでしょう。
リビングの床を無垢材にしたら傷だらけになった
高級感を演出しようとして、リビングの床に無垢材(丸太から切り出した自然な状態の木材)を使用したら、人工的なフローリングと違って傷がつきやすかった、という失敗例です。
子どもがいる家庭では、子どもが物を落としたり走り回ったりして、やわらかい無垢材の床にはすぐに穴が空いてしまいます。
夫婦2人で暮らす場合は問題ないかもしれませんが、子どもがいる、もしくはこれから生まれる予定なら、無垢材の床は避けましょう。
注文住宅の間取りで失敗しない決め方のコツ
注文住宅の間取りで失敗しない決め方のコツは、以下の通りです。
- 春夏秋冬すべての時期に住むことを想定する
- 注文住宅を建てる予定の土地を下見し、人通りの多さと隣家の玄関・窓・換気扇吹き出し口の位置を把握しておく
- 部屋と家具の縮尺をおなじにした模型をつくってみる
- 窓は1部屋に2つまでとし、テレビの向かいには設置しない
- 寝室に東向きの窓をつけない
- トイレはリビング・玄関・寝室から遠ざけた廊下に設置する
- なるべく短い範囲で家事ができるようにシミュレーションする
- 収納スペースは多めにつくり、子どもの成長に備える
- コンセントは部屋の広さに合わせて3ヶ所~6ヶ所つける
- 床は白系の色にせず、子どもがいる場合は無垢材を使用しない
部屋と家具の模型についてですが、画用紙を切っただけの簡単なものでかまいません。
たとえば400cm×300cmの部屋に幅80cm×奥行き50cmのパソコンデスクを置くとしたら、10分の1の大きさにして、40cm×30cmの部屋の模型と8cm×5cmのパソコンデスクの模型をつくります。
そして、部屋の模型の上に家具の模型をかさねて、部屋のどの位置に置けばきれいに収まるかを考えます。
このとき、窓やコンセントの位置もいっしょに考えると、家具に隠れずにつかいやすい場所はどこか、見えてくるでしょう。
ここまで書いてきましたが、上記のコツを意識するだけで、注文住宅の間取りで失敗するリスクがグッと減らせます。理想の注文住宅をぜひ建ててくださいね。
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