「注文住宅を建てようと思ってるんだけど、ハウスメーカーの選び方がよくわからない…」
「むずかしいけど適当に選んだら失敗するよね? どうやって選んだらいいか知りたい!」
注文住宅のハウスメーカー、たくさんありすぎてどれを選んだらいいかわからないですよね。
この記事では、ハウスメーカーを選ぶにあたって必要な知識と、それを使ってどのようにハウスメーカーの善し悪しを見抜けばいいかを解説します。
なお、ハウスメーカーという呼び名で統一して解説しますが、工務店選びにも通用する方法です。ぜひ最後まで読んでください。
ハウスメーカー(工務店)の選び方
注文住宅のハウスメーカー選びに失敗しないために、知っておかなければならない知識があります。大きくまとめると以下の4つです。
- 家づくりに関する法律
- 注文住宅を建てる際の施主(買うひと)の役割
- 家づくりをハウスメーカーに依頼することのリスクと回避法
- 信頼できるハウスメーカーかどうかを見抜くポイント
これらの基礎知識がない状態でハウスメーカーを選ぼうとしても、何を基準に選んでいいかがわからず、何社も見ているうちにだんだん疲れてきて、「もうこの会社でいいや」と適当に決めてしまう可能性が高いです。
それぞれについて解説していきます。
家づくりに関する法律
家づくりをする施主を守るために、以下の4つの法律が定められています。
- 建築基準法
- 建築士法
- 品確法
- 瑕疵(かし)担保法
ひとつひとつ解説していきましょう。
建築基準法とは
建築基準法とは、住宅を建てる際に最低限守らなければならない基準や手続きを定めた法律です。
住宅を建てる際は、建築基準法に適合しているかどうかの審査を受けながら工事を進める必要があり、適合しない住宅は建てることができません。(※建築基準法 参照)
建築士法とは
建築士法とは、1級建築士・2級建築士といった資格によって設計できる建物を定める法律です。
一戸建て住宅の場合は2級建築士か1級建築士、マンションの場合は1級建築士が設計できることになっています。
この法律があることで、「資格を持たない人間が住宅の設計をしてしまうリスク」をなくしています。(※建築士法 参照)
品確法とは
品確法とは、住宅の引渡しから10年間、基礎・柱・梁といった構造上重要な部分の不具合や、雨漏りがあった場合に、建築会社が無償で修補・賠償しなければいけないという法律です。
(※住宅の品質確保の促進等に関する法律 参照)
瑕疵担保法とは
瑕疵担保法とは、「品確法で定められた10年の間に建築会社が倒産してしまった場合でも、賠償金を支払えるようにあらかじめ資金を確保しなければいけない」という法律です。
具体的には、瑕疵担保責任保険に加入するか、国家機関である供託所に資金を預けておくことで、支払い不可になるリスクをなくしています。(※国土交通省 住宅瑕疵担保履行法について 参照)
注文住宅を建てる際の施主の役割
注文住宅を建てる際、「建築士」・「施工業者」・「施主」の3つの立場に分かれます。
「建築士」は、先ほど解説した建築士法によって定められた、1級建築士もしくは2級建築士の資格を持った人間です。住宅の設計と工事監理(設計図書どおりに工事が行われているかどうかを確認して施主に報告する役割)を担当します。
「施工業者」は、住宅を建てるハウスメーカーのことです。ハウスメーカーに建築を依頼する場合は「建築士」もハウスメーカーの社員であることが多く、希望しない限りは「施工業者」と「建築士」を別々に探す必要がありません。
「施主」は住宅の建築を依頼するひとのことで、役割は以下の3つです。
- 「建築士」・「施工業者」の選定
- 自治体または確認検査機関への建築確認申請
- 自治体または確認検査機関への完了検査申請
「家はハウスメーカーが建ててくれるもの」と思ってしまいがちですが、これらの役割を担うことで、「施主」も家づくりに大きく関わっているという意識を持つ必要があります。
逆に、よくわからないまま契約して家が建つのをただ待っている状態だと、完成後に不具合が出た場合にすべての責任をハウスメーカーに押し付ける形になり、ハウスメーカー側との認識の違いで、不毛な論争を繰り広げることになります。
実際は、契約した後はハウスメーカーによって自動的に人材決定が進められ、申請手続きもハウスメーカーが代わりにやってくれるので、「施主」が責任を意識する機会はほぼありません。
しかし、法律上は「施主」に「建築士」と「施工業者」を選ぶ決定権があり、責任もついてまわるということを知っておきましょう。
家づくりをハウスメーカーに依頼することのリスクと回避法
ここからは、家づくりをハウスメーカーに依頼することのリスクと、その回避法について解説していきます。
リスク1:工事監理者を選択する機会を失う
先ほど解説したように、注文住宅を建てる際は「建築士」を選定し、選定した「建築士」に工事監理を行ってもらう権利が「施主」にあります。
工事監理とは、工事が設計図書どおりに行われているかどうかを確認し、行われていない場合は「施工業者」に指摘したうえで、「施主」に報告する役割です。
この工事監理者は法律上、「施主」と「施工業者」の間に立つ第三者として工事を見張る役割であり、どこの会社に所属していなければならないという決まりはありません。つまり、ハウスメーカーの社員である必要はないのです。
ところが、ハウスメーカーに家づくりを依頼すると、ハウスメーカーが自社の社員を「建築士」に選定し、「施主」はよくわからないまま了承します。
「施工業者」と「建築士」におなじハウスメーカーの人間を使うことで、第三者の目が入る機会がなくなり、設計図書に沿わない工事をしていたとしても隠し通すことができます。
「施工業者」と「建築士」を別々に探さなくて済むぶん「施主」の手間は省けますが、選択する機会を自ら捨ててしまう行為でもあるのです。
リスク2:住宅の完成までに第三者による検査が一度もない場合がある
注文住宅を建てる際は、工事監理者による確認以外にも、第三者による検査があります。具体的には以下の3種類です。
- 建築基準法に基づく中間検査と完了検査
- 瑕疵担保保険法人による検査
- 社内検査を補強するための外部会社による検査
建築基準法の検査は、行政または指定確認検査機関が行います。中間検査と完了検査の計2回行われ、建築基準法に適合していることが確認されれば次の工事に進む(完了検査の後は住み始める)ことができます。
ただし、中間検査は指定された地域以外は受ける必要がありません。指定された地域は以下のサイトで確認できます。
(※建築基準法第7条の3による中間検査特定工程の指定状況)
瑕疵担保保険法人による検査は、先ほど解説した瑕疵担保責任保険にハウスメーカーが加入する場合に受ける検査です。資金を供託所に預ける場合は受ける必要がありません。
社内検査はハウスメーカーが行う検査で、工事の各工程が建築確認法令や仕様書といったルールに沿っているかどうかを確認します。信頼性を高めるために外部会社による検査を行うハウスメーカーもあるのですが、しなければいけない義務はありません。
「施主」の立場からすると、3つの検査がすべて行われるのが理想です。
しかし、地域やハウスメーカーの方針によっては1つも行われず、第三者の目が一度も入らないまま完成し、手抜き工事に気づけない可能性があります。
リスク回避法:設計と工事監理を設計事務所(建築家)にやってもらう
リスクを回避する方法として、設計と工事監理、つまり「建築士」の役割を設計事務所(建築家)にやってもらうのが有効です。
「施主」でも「施工業者」でもない第三者に間に立ってもらうことで、中立的な立場から工事を監視してくれます。
完成後に欠陥や不具合が見つかった場合にも、専門知識を持った「建築士」が味方になってくれるので、たった1人でハウスメーカーと争わなければならない事態を避けられます。
多くのひとはそんな選択肢があることを知らずにハウスメーカー選びを始めるため、ハウスメーカーから用意された人材をそのまま受け入れますが、「建築士」の選定権はあくまで「施主」にあるということを覚えておきましょう。
信頼できるハウスメーカーかどうかを見抜くポイント
それでは、ここまでの知識をふまえて、信頼できるハウスメーカーかどうかを見抜くポイントを解説していきます。
ハウスメーカーを選ぶ際に、ネットの口コミ・評価だけを見て決めてはいけません。
なぜなら、注文住宅は施主によってどんな家を建てるかが大きく違い、一般的な満足度が高いからといって、自分も満足できるとは限らないからです。
まずは住宅展示場に直接出向いて、3~4社でいいので営業マンと話をしてみましょう。
ここからは、営業マンとのやり取りのなかからハウスメーカーの善し悪しを見抜くポイントを解説します。
当たり前のことを特別にやっているかのように語ってこないか
当たり前のことを特別にやっているかのように語ってくる営業マンには要注意です。たとえば、あなたが以下のような質問をしたとします。
「住宅の耐震性能はどうなっていますか?」
ハウスメーカーA「耐震性能はバッチリです。建築基準法にきちんと適合していますし、最近建てた住宅は東日本大震災でも1棟も倒壊しませんでした。震度7の地震が来ても倒れませんよ」
このように返されるとなんとなく安心してしまいそうですよね。
しかし、先ほど解説したように、建築基準法に適合しない住宅はそもそも建てられません。適合しているのは当たり前です。
1981年6月1日に耐震基準が変わり、震度7でも倒壊しないことが最低限の条件になりました。大震災で倒壊したのは一部を除いてそれ以前の旧耐震基準で建てられた住宅であり、それ以降に建てられた住宅は震度7でも倒壊しないのが当たり前なのです。
逆に、以下のような答えが返ってきたら信頼度が高まります。
ハウスメーカーB「震度7でも倒壊しないことを基準に建てていますが、保証できるのは人命だけであって、財産までは含まれていません。ご希望であれば、建築基準法レベルの1.25倍もしくは1.5倍の耐震性能がある『耐震等級』を取得することが可能です」
リスクを包み隠さず説明し、それに対する具体的な対策も挙げてくれています。
耐震等級は、住宅性能評価という全国共通の制度で取得できるもので、耐震性をはかるうえでも安心材料のひとつです。
注文に対して正直な意見をいってくれるか
こちらが注文したことに対して、専門的な視点から正直な意見をいってくれるかどうかも重要です。たとえば、あなたが以下のような注文をしたとします。
「リビングに吹き抜けをつくりたいです」
ハウスメーカーA「承知しました。いま契約していただければ予算の範囲内でつくらせていただきます」
ハウスメーカーB「吹き抜けをつくると建物が横方向からの力に弱くなるため、耐震性が低くなってしまいます。冷暖房効率が悪くなるのも見逃せないデメリットです。ただ、費用は上がりますが、補強する方法はありますので、ご希望であればくわしくご説明いたします」
Aはデメリットについては一切触れず、とりあえず早く契約させようという姿勢です。
対して、Bはデメリットについてきちんと説明し、そのうえで施主の希望を叶えるために、具体的な対策方法を提案しようとしています。
費用を安く抑えられることからAのほうがお得に見えますが、住宅を建てたあとで後悔せずに済むのはBです。
ハウスメーカーを選ぶときは、契約を逃すリスクを背負ってでも正直な意見をいってくれる、Bのようなメーカーを選びましょう。
「第三者による検査」を便利に使っていないか
先ほど、工事に第三者の目がまったく入らないのはリスクであると解説しました。しかし、第三者による検査があることをアピール材料に使ってくるハウスメーカーには要注意です。
たとえば、あなたが以下のような質問をしたとします。
「貴社の工事現場にはどんな検査が入るんですか?」
ハウスメーカーA「建築基準法に基づく中間検査や、瑕疵担保保険法人による検査が入ります。第三者の目がきちんと入りますので、ご安心ください」
ハウスメーカーB「建築基準法に基づく中間検査・瑕疵担保保険法人による検査が入りますが、それらは最低限のチェックでしかありません。当社では独自の品質管理基準・検査基準を用いて、社内検査を徹底しております。検査状況の写真や記録もすべて施主様にお見せしますので、ぜひ直接ご覧になってください」
Aは第三者による検査が入ることをアピールしており、一見安心できるように見えます。
しかし、建築基準法による検査や瑕疵担保責任保険法人による検査は、一部の例外を除いてすべての住宅が受ける最低限の検査なので、「第三者」という言葉だけを聞いて安心するのは危険です。
対してBは、第三者による検査を受けたうえで、独自の品質管理基準・検査基準を設定した社内検査を行うといっています。
社内検査をどこまで徹底してやるかは、各ハウスメーカーによって大きく異なり、手を抜こうと思えばいくらでも抜ける部分です。
検査状況の写真や記録を見せてくれるというのも、工事の実態が見えるので安心できるポイントです。
実際にハウスメーカーに質問してみた
以上の3つの質問を、実際にハウスメーカーのモデルハウスに行き、営業マンにしてみました。
結果が気になる方は以下のリンクからご覧ください。
ここまで書いてきましたが、自分で何社もモデルハウスに行くのは大変でしょうから、私が代わりに聞いてきた結果を見て、各メーカーの特徴をつかんでくださいね。
この記事を読んだことで、ハウスメーカー選びをするうえでの手助けになれることを願っています。
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各メーカーの家の仕様や特長を知ることで、住みたいイメージに合致するのがどこのメーカーなのか、ひと目で判断できるでしょう。
- ハウスメーカーの公式ホームページを見ても違いがよくわからない
- 時間と手間をかけずにメーカーを比較したい
- 住宅展示場で1社1社話を聞いてまわるのがめんどくさい
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